泥藍
1853年。
浦賀に来航する途中、沖縄に立ち寄ったペリー提督。
島のあまりの美しさに、「緑の島」とたたえた。
自然の恵みをいっぱいに受けてキラキラと輝く、
山と海の碧い風景が想像されます。
そんな美しい緑を飾った一つであったろう「琉球藍」。
主に沖縄県地方で育てられてきました。
過去形なのは、今ではほとんど栽培がされていないから。
「山原藍(やんばるあい)」とも呼ばれ、山原地方の山間部特有の
湿地を好み栽培されていたことが由来にあるそう。
常に水分は用意してくれてよ。 直射日光? なんてとんでもなくって!
けども・・たまにはほどよく、太陽の光を浴びさせてくださる。
春に吹く東風は歓迎だけども、北風さんはごめんあそばせ。
なんていうように、琉球藍は結構手のかかる子です。
それだけ、愛情と時間をたっぷりとかけて育てられた分
さぞかし魅力的な藍色を帯びたことでしょう。
2011年。
三省堂に向かう途中、展示会に立ち寄ったokusta。
初めて見る琉球藍の泥藍に、「月面みたい」と心が踊る。
「月に行ったことがあるのですか?」と苦笑いのご婦人。
「いやいや、まさか行ったこと・・あるような気もします!?」
作り手の愛情、その土地の自然の恵み。
それらが藍色となって表われたとき。
その言葉にしがたい色彩が、心を豊かに自由にさせます。
南の島の夏の夜空はどんな藍色だろうか。
輝く星が見えるといいな。
by okusta-jp
| 2011-06-24 00:50
| 藍の話